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最高裁判所第二小法廷 昭和32年(あ)188号 決定

主文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

弁護人泉芳政の上告趣意第一点は違憲をいうも、その実質は単なる法令違反の主張に帰し且つ右は控訴審において控訴趣意として主張せず、原判決が何ら判断を加えていない事項に関する主張であって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない(なお刑法五六条一項に「五年内ニ更ニ罪ヲ犯シ有期懲役ニ処ス可キトキハ」とあるのは、前犯の刑の執行を終った日または執行の免除があった日から五年内に後犯が行われたこと及び後犯につき更に有期懲役に処すべき場合であることを要するという意であって、要は、右五年の期間内に後犯が行われればよいので、後犯に対する裁判がこの期間内に言渡されることを必要としないものと解すべきである、第一審判決摘示にかかる被告人の本件各犯罪はすべて所論指摘の前科につき被告人が刑の執行を終った日から五年内に犯されたものであることは、記録上明らかであるから、これに対し刑法五六条五七条を適用して累犯加重をした第一審判決を維持せる原判決には何ら所論のごとき違法はない。)同第二点は量刑の非難を出でず刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号、一八一条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 池田克 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一)

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